ホワイトハウス内でも、日米関係に対する悪影響を心配して、大統領の判断に反対する意見があった、と報じられている。バイデン氏は最後の最後になって、「歪(ゆが)んだ思惑」から判断を間違えたと言わざるを得ない。
日本製鉄とUSスチールは大統領の買収阻止命令と対米外国投資委員会(CFIUS)の審査無効を訴えている。本来、中立的立場で審査する役割のCFIUSは結論を出すのを避けて、大統領に丸投げしていた。バイデン政権とCFIUSには、米メディアからも強い批判が出ている。
例えば、6日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で「もっとも有害なのは、CFIUSの審査が安全保障上の懸念という理由で、卑劣にも公然と政治の影響を受けたことだ」と書いた。
そのうえで、「バイデン氏がしたのは事実上、安全保障に経済的ナショナリズムを含めるよう、言葉を定義し直すものだ。政治介入に新たな扉を設けて、外国企業は米国への投資により慎重になるだろう」と警告した。
つまり、「米国の利益にもならない」と指摘したのだ。